304号室、母と桜 


沈み出した  感情には  最後の別れを
息子の声  耳鳴りさえ  聞こえず泣いている

目に焼き付く  傷跡には  怒りを覚えて
瞳を閉じた  息子はもう  笑えずに泣いている

たえきれない傷は深く  短すぎる春よ桜散れ

昨日までは笑っていたね  窓辺に咲く  百合は枯れていく
明日はもう  来ないのだろう  16歳の夜
泣いてみても  笑ってみても  窓辺に咲く  百合は枯れていく
明日はもう  来ないのだろう  16歳の春

被害者の声はありません

病室から  運ばれていく  瞳は開かず
私の声  聞こえますか  届かぬ愛情

たえきれない傷は深く  短すぎる春よ桜散れ

昨日までは笑っていたね  窓辺に咲く  百合は枯れていく
明日はもう  来ないのだろう  16歳の夜
泣いてみても  笑ってみても  窓辺に咲く  百合は枯れていく
明日はもう  来ないのだろう  16歳の春
火葬された  息子を抱いて  変わり果てた  夢は枯れて行く
たえきれない  鴨川に咲く  桜の下
来年には  綺麗に咲いて  今までより  満開に咲く
たえきれない  鴨川に咲く  17歳の春




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